いろいろと謎な蛇皮チャイニーズバンジョー三絃。
Chinese Banjo
これがよくわからない。情報がないのである。情報がないながらヤクオクに出たのは何回か見ている。情報はないがレアではないのである。ヤフオクに出した人は、見た目はいいがあまりにもフレット音痴なのでリペアショップに頼んでフレットを打ち直してもらっていた。ナットも交換してた気がする。
弾いてみるとその通りの楽器で、見た目はいいので最初はすごく価値のある民族楽器だと思ったが、実際に弾いてみたら楽器としての最低基準を満たしていないのである。見掛け倒しというやつである。ただ蛇皮のバンジョーなので開放弦で弾いた時の音はやたらと良い。
由来を推測した。中国は社会主義である。社会主義では古い伝統や民族楽器的なものは、旧弊な悪とみなされていたそうで、文化大革命の時にどんどん進歩的なものに変えることが推奨された。そんな感じで蛇皮の三味線を進歩的な楽器に改造したのではないか、と考える。
そう思うとずいぶんと醜悪なものだが、出てくる音色は郷愁をさそう美しいものだ。また、社会主義の弊害で、構造を改革さえしていれば進歩的と褒め称えられて、実際に楽器として弾いた時にどうなのかは、考慮に入れられていなかったのではないか。そういう設計の楽器である。社会主義のだめな部分を象徴しているようにも思える。強いて弁護するなら被害者である。
現状としては
・フレット音痴
・ナットが高すぎる
こんな感じだ。フレットだが、打ち直す気にはならないのでブリッジの位置を調整して、それなりに合うようにはした。しかし、ナット(ブリッジもだが)が高すぎるせいもあり、ピッチが悪い。上の方のフレットで合わせると下の方がずれる。下の方で合わせると上がずれてしまうという塩梅である。
ナットは
・高すぎると、アタックは強くなるが弾きにくく、フレットを押さえた時にピッチがずれてくる
・低いと、その逆でアタックが弱くなるが弾きやすい
という特徴がある。現状、音色は素晴らしいのでナットを下げるとバンジョーらしい音が損なわれるような気もするので、手を出すのは躊躇しているところ。でも、ちょっと下げたほうがいいかな。
フレットの間隔がおもしろいもので、西洋ギターのフレットの一個おきである。つまり、12フレットめが6フレットめになっている。このへんが毛沢東主義的に賞状でももらいそうな進歩的なところだと思う。
なのでマイナーとかメジャーとかスケールを選ぶことができないが、日本的というか中国的というかそういうスケールが一つだけ出せる。スケールはよく知らないのだが、メジャーなペンタトニックとかそんな感じでブルースな雰囲気ではない。明るいお祭りのようなやつである。
ニシキヘビの皮。ワシントン条約があるのでもう輸入できないはず。すると1980年代以前だろうか。二胡にならってペーパータオルを挟んでみた。弓引きじゃないのでいらんかもしれない。
メーカー名と電話番号まで書いてある。英語なら検索で調べられるのだが、日本語フォントにないのでこの文字を打てない。
ナットが高すぎるよ!
ペグはけっこう良い。
ネックの裏側。ラッカーの塗装も泡がつぶれたあとや、つけすぎでたれて固まっている箇所などあって、かなりひどい。楽器としての作りが悪いんだよな。
裏。
ボディはけっこうしっかり作っている。
弦はこのように止める。
見た目だけはいいのだが。
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